2023年以降、AI画像生成技術の急速な発展により、デジタル似顔絵サービスが急増した。スマホアプリで写真をアップロードすれば数秒で似顔絵風の画像が生成される。
しかし、名古屋の似顔絵師たちは脅威とは感じていないと口を揃える。「AIは確かに速いし安い。でも、目の前で描かれる過程を見る楽しさ、作家との会話、その場で修正してもらえる柔軟性は、手描きでしか味わえない」と前出の田中氏は説明する。
体験価値としての似顔絵
現代の消費者が求めているのは、単なる完成品ではなく「体験」だ。似顔絵を描いてもらう15分間は、自分だけのための特別な時間となる。作家が自分の顔を真剣に見つめ、特徴を捉えようとする瞬間。少しずつ完成に近づいていく紙面。この一連の体験こそが、似顔絵の本質的価値だと業界関係者は指摘する。