なぜ特定の空間で激しい恐怖が生じるのか。近年の機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いた実験により、偏桃体と前頭前皮質のネットワーク異常が関与している可能性が浮き彫りになった。
人間が空間の中に身を置くとき、脳は視覚情報、前庭感覚(耳の奥で傾きを感じる感覚)、体感感覚(足の裏の圧力など)の3つを瞬時に統合している。低所恐怖症の患者の場合、広大で複雑な低い空間に入った瞬間、視覚情報が他の2つの感覚と不整合を起こし、脳が緊急事態と誤認して交感神経を一気に優位にしてしまう。これが、突発的な冷や汗、頻脈、脚のすくみといった身体症状の正体だ。