40歳での大転身は、個人の決意だけで完結できるものではありませんでした。そこには家族の絶対的な理解と支援がありました。
2001年に結婚した妻の亜耶(あや)さんは、テレビでのイジられ役として精神的に追い詰められていた当時の夫の苦悩を一番近くで見守っていました。方正が「落語家になりたい、八方師匠に弟子入りしたい」と打ち明けた際、収入が激減するリスクを承知の上で「あなたが本当に情熱を傾けられる道なら、ぜひやりなさい」と背中を押したといわれています。
家庭内には2人の娘と1人の息子がおり、父がゼロから古典落語の長文を丸暗記し、壁に向かって何百回も稽古を繰り返す背中を見て育ちました。現在、子どもたちは成人あるいは青年期を迎えていますが、バラエティで道化を演じていた父親が、一生を賭ける芸を掴み取り、観客を感動させる姿に深い敬意を払っていると伝えられています。