ネット上の感想や考察コミュニティでは、「近年の新撰組ドラマは美化されすぎているのではないか」「芹沢鴨暗殺や油小路の変のえげつなさが薄まっていないか」という指摘が時折なされます。しかし、優れた近代新撰組ドラマを仔細に分析すると、決してファンタジー的な美化に逃げているわけではありません。
むしろ卓越した名作ほど、「理想を掲げた純朴な青年集団が、組織の維持と政治闘争のために自ら怪獣へと変貌していく悲哀」を鋭く抉り出しています。筆頭局長・芹沢鴨(佐藤浩市が演じた2004年版の圧倒的迫力は白眉)の非情な謀殺、内部規律に縛られた隊規「局中法度」による凄惨な粛清の数々は、彼らが単なる正義のヒーローではなかった証左です。
歴史的事実として、新撰組の刃にかかって命を落とした人物は、倒幕派の志士よりも「身内の隊士」の方が圧倒的に多かったというデータも存在します。ドラマは単なる美化を描いているのではなく、「信じた理念を守るため、友の首を刎ねなければならなかった人間の極限の葛藤」を描いているからこそ、100年以上の時を超えて私たちの心を掻き乱すのです。