主演を務めたハン・ソッキュの凄まじい演技力は、今見返しても息をのむ。純朴さと脆さ、そして衝動的な暴力を同居させた青年マクトの心情を、細やかな表情の揺れと全身の佇まいで表現しきった。電話ボックスで家族へ電話をかけ、泣きじゃくりながら子供時代の思い出を語るシーンは、映画史に残る名演として讃えられている。
また、組織のボス愛人でありながらマクトと危うい絆を結ぶ女性ミエを演じたシム・ヘジンの存在感も見逃せない。彼女が醸し出す哀愁と退廃的な美しさは、血生臭い男たちの世界に切ない一筋の光を投げかけている。二人の交差する視線と交わされない言葉が、ドラマの緊張感を極限まで高めている。