この美術館を唯一無二の存在たらしめている最大の核、それが1階奥に佇む「公開制作室」だ。完成された作品を静かに仰ぎ見る従来の鑑賞スタイルとは一線を画す。ここではアーティストが滞在し、キャンバスに向かい、試行錯誤する息遣いまでもがリアルタイムで公開される。
「作品が生まれる瞬間の緊張感と、作家とのさりげない雑談。その双方が鑑賞者の美意識を刺激する」と語るのは、長年館の企画を支えてきた学芸員だ。2026年の記念イヤーには、国内外から気鋭の若手作家から重鎮までを招き、過去最大規模の公開プログラムが組まれている。キャンバスの上で絵の具が塗り重ねられていく時間を追う体験は、完成品を眺めるだけの数十倍もの密度で記憶に刻まれる。