漫画家の子供が親と同じ道に進む例は、手塚治虫氏や赤塚不二夫氏をはじめ、日本のカルチャー史において珍しくない。そのため、「井上雄彦の息子がイラストレーターやアニメーターとして活動している」という説も、まことしやかに語られてきた。
だが、井上氏本人は自らの家族について公の場で語る機会を厳しく制限している。彼が妥協を許さない一描一描の線に全神経を注ぐように、家族のプライベートを守ることに対しても極めて誠実で厳格な姿勢を貫いてきた。子供たちがどのような道を選んでいたとしても、父親の名声に頼らず自らの足で立たせたいという、親としての深い思いが見て取れる。