平蔵の功績の中で、最も先進的と称えられるのが「石川島人足寄場(にんそくよせば)」の開設だ。これは単なる収容施設ではない。罪を犯した者や無宿者に大工や船大工などの技術を習得させ、自立のための資金を持たせて社会へ戻すという、世界的に見ても極めて早い段階で試みられた「リハビリテーション施設」であった。
犯罪者を排除するのではなく、社会の構成員として再統合する。この寛容と実用性を兼ね備えた施策は、再犯防止や福祉政策が大きな課題となっている2026年の日本において、大きな示唆を与えている。厳罰化だけに傾斜しがちな現代社会への、時空を超えた警鐘と言えるだろう。