退職金がない環境で働くことには、ネガティブな側面だけでなく、見落とされがちな利点もあります。自身のキャリア設計と照らし合わせながら、損得を冷静に見極める必要があります。
最大のメリットは、日々の可処分所得が高くなりやすい点です。退職金原資を天引きされない分、基本給が高水準に設定されていれば、手取り収入を自己投資や個人の資産運用へ柔軟に回せます。早期に転職する場合でも「退職金が満額もらえず損をした」という心理的拘束を受けにくいのも強みです。
一方で、最大のデメリットは退職所得控除という破格の税制優遇が使えない点です。退職所得控除は勤続年数に応じて非課税枠が広がる強力な制度であり、退職金なしの会社ではこの恩恵を受けられません。自己管理を怠り、手取りを使い果たしてしまうと、定年を迎えた瞬間に蓄えが底をつく深刻なリスクを背負います。