巨大な体躯から繰り出される毒の一撃は、人間にとっても重大な脅威です。毒液にはヒスタミン、セロトニン、プロテアーゼ、心毒性ペプチドなどが高濃度に含まれており、注入されると焼けた鉄棒を押し当てられたような激痛が数時間から数日間にわたって続きます。
重症化した場合、刺傷部位周辺の激しい腫脹、リンパ節の腫れ、発熱、局所的な組織壊死を引き起こすリスクがあります。基礎疾患を持つ方やアレルギー体質の方の場合、アナフィラキシーショックによる呼吸困難や血圧低下を招き、最悪の場合は命に関わる危険性も否定できません。
万が一噛まれた場合の応急処置として、以前は冷やす処置が主流でしたが、ムカデ毒の主成分である酵素タンパク質は熱に弱い性質を持ちます。そのため、42℃〜45℃程度のシャワーや温水で患部を15〜20分洗い流す処置が痛みの緩和に有効とされています(※40℃未満のぬるま湯は毒の活性を高めるため厳禁)。その後は速やかに皮膚科や救急外来を受診し、医師によるステロイド軟膏の処方や抗ヒスタミン剤の投与を受けることが不可欠です。