イカ天は、無名のアマチュアドライバーが一躍全国区のスターへと駆け上がる「モータースポーツ界のシンデレラストーリー」を生み出す揺籃でもありました。その代表格が、現代の日本のモータースポーツ界を牽引するトップドライバー、織戸学選手と谷口信輝選手です。
千葉の峠で名を馳せていた織戸学氏は、イカ天への出演をきっかけに土屋圭市氏や坂東正明監督(現GTアソシエイション代表)の目に留まり、プロレーサーへの道を切り拓きました。野性味溢れるドライビングスタイルと熱いキャラクターで一躍人気者となり、「MAX織戸」の愛称でSUPER GTやD1グランプリの頂点へと上り詰めたのです。
一方、広島から彗星のごとく現れた谷口信輝氏もまた、イカ天で圧倒的なドリフトコントロールを披露して脚光を浴びました。「NOB谷口」としてその正確無比なテクニックが高く評価され、後にD1グランプリ初代シリーズチャンピオンを獲得。さらにSUPER GTのGT300クラスで3度の王座に輝くなど、名実ともに日本を代表するトップレーサーへと登り詰めました。
専門誌『ドリフト天国』や『ビデオオプション』のメディアミックス戦略と相まって、イカ天は「走りの腕一本でプロへの階段を駆け上がれる夢の舞台」としての絶対的な地位を確立したのです。