地方都市を車で走らせていると、ふと独特な空気感を纏ったカスタムカーに出会う。都市部のチューニングカーやクラシックカー愛好家とは異なり、彼らの狙いは速度やサーキットのタイム向上ではない。本質にあるのは「格好良さ」と「圧倒的な存在感」、そして「仲間内での共感」だ。この独特な美意識の根底には、昭和から平成にかけて日本全国に広がったヤンキー文化が存在している。
映画『下妻物語』でも描かれたように、茨城県をはじめとする地方の若者たちにとって、地元のロードサイド文化はアイデンティティそのものだった。原付バイクから始まった暴走族文化が、年齢とともに四輪車へとシフトする過程で、自分たちの「城」としての空間づくりが始まったのだ。広大な幹線道路と広い駐車場が揃う地方特有の環境が、大音量のオーディオや極端なローダウンを許容する土壌を作ったといえる。