物語の始まりは、1996年のシンガポール。商業施設「アマラ・ショッピングセンター」の片隅で、チャールズ・ウォンとキース・ウォンの兄弟がオープンさせた小さなシューズショップだった。当初は卸売業者から仕入れた靴を販売する一般的な小売スタイルをとっていたが、兄弟はすぐに自らの限界を察知する。「他社と同じ商品を並べていては、お客様の心を捉え続けることはできない」。彼らは自らデザインを手がけ、現地の工場と直接交渉して独自ラインを展開するという大きな賭けに出た。
この決断がすべてを変えた。毎週のように新しいデザインが店頭に届き、働く女性たちの心を鷲掴みにする。トレンドを追いかけるのではなく、自らトレンドを作り出すスピード感。シンガポール国内で圧倒的な支持を確立したブランドは、すぐさまマレーシア、インドネシア、中東へと破竹の勢いで進出を果たしていった。