タカラジェンヌの退団後のキャリアは、しばしば様式美の延長線上に描かれる。ミュージカルの舞台に立ち続けるか、テレビドラマで品位ある佇まいを見せるか。しかし、宝塚歌劇団月組で瑞々しい存在感を放っていた月船さららが選んだ航路は、その王道からあえて外れるものだった。
宝塚という聖域で徹底的に叩き込まれた身体表現の規律。それは強固な武器であると同時に、実写映画のリアリズムにおいては一種の「鎧」にもなり得る。彼女はその鎧を一枚ずつ剥がしていった。舞台で演じる男役という仮面を捨て、女性としての肉体そのものをスクリーンに晒す行為は、過去の栄光への決別であり、真の女優としての宣誓供述書に他ならなかった。