星風まどかの幼少期を語るうえで、母親の存在を避けて通ることはできない。母親の宝塚愛の深さは星風まどか自身の証言からもよくわかる。「たぶんお腹にいた頃から観ていた」という表現は、妊娠中から宝塚観劇を続けていたことを意味している。これは半ば冗談めかした言葉でありながら、実家の日常がいかに宝塚と近しいものだったかを端的に示している。
幼少期から母親と一緒に東京宝塚劇場で観劇することが日常的だったため、星風まどかにとって宝塚は特別な存在ではなく、ごく自然な環境だったのだ。そしてある日、その自然な日常が大きな転機へと変わる。2008年の月組公演「ME AND MY GIRL」を宝塚大劇場で観劇し、ラインダンスを観た瞬間に「自分もこの舞台に立ちたい」と受験を決意したという。幼い心に刻まれた舞台の熱量が、そのまま人生の方向を決めたのだ。
母親の愛情を示す具体的なエピソードも残っている。星風まどかが月組「ル・ポァゾン 愛の媚薬」のこだま愛さん着用ドレスをほしがった際、母親は手作りでそのドレスを再現してプレゼントした。星風まどかはそのドレスを着て踊っていたということで、母親の愛情と宝塚への理解の深さがうかがえる。市販品ではなく、手縫いで娘の夢を叶えようとした母の姿勢は、家庭全体の温かさを象徴するエピソードだ。