蓮池、ボート池、鵜の池という三つの表情に分かれた池の全景を味わい尽くすには、歩行ルートの選択がすべてを左右する。京成上野駅側の入口から足を踏み入れ、まずは蓮池の外周を時計回りに進むのが鉄則だ。夏場ともなれば視界一面を覆い尽くす蓮の巨葉が圧巻の迫力を見せるが、開花の見頃となる7月中旬から8月中旬にかけては、朝6時から8時のわずかな時間帯を狙わなければならない。昼前には固く花弁を閉じてしまう蓮の習性を知る者だけが、朝露に濡れる真紅や純白の花弁の息を呑む美しさを独占できる。
池の中央に浮かぶ中島へと伸びる遊歩道を渡り、水辺の柳が揺れるボート池の北東側へ回り込むと、近代的なタワーマンション群と水面が織りなす劇的なコントラストが広がる。ここが知る人ぞ知る写真撮影のベストアングルだ。スワンボートが穏やかに滑り出す午前の水面を眺めつつ、木陰のベンチに腰を下ろせば、ここが世界屈指の大都市の中心であることを完全に忘れてしまう。