石原裕次郎が体現したのは、映画館の暗闇の中で人々が憧れた「スクリーンの中のヒーロー」だった。一方、松田聖子は茶の間のテレビ画面から毎日お茶の間に元気を届ける「隣のクラスの人気者」であり、同時に誰も手が届かない絶対的なミューズだった。
この二人の存在は、日本のエンタメ業界における主役が「映画」から「テレビ」へと完全に移行するパラダイムシフトを象徴している。裕次郎はその変化を誰よりも敏感に察知し、自ら石原プロモーションを率いてテレビドラマの世界へ進出した。だからこそ、新時代の寵児として現れた聖子の圧倒的なスター性を、彼は誰よりも早く、そして正当に評価していたのだ。