一見すると極めて不格好に見えるガニ股打法ですが、運動力学や打撃技術の観点から分析すると、極めて理にかなった合理性を秘めています。一方で、身体に強烈な負荷を強いる明確な弱点も存在します。
最大のメリットは、両目で投手を完全に正対して見られる点です。通常のスクエアスタンスやクローズドスタンスでは、打者は首を投手方向へ大きく捻ってボールを見るため、利き目によっては遠近感に狂いが生じやすくなります。しかし、ガニ股打法は両目の視界を水平かつ正面に保てるため、ボールの出所や変化球の軌道、高低のコース見極めが格段に向上します。さらに、構えの段階で重心が極限まで低く固定されているため、スイング時の目線の上下動が劇的に減少します。
反面、最大のデメリットは下半身への凄まじい肉体的負担と外角球へのリーチです。常にスクワットを維持したような深い前傾と股関節の開きをキープするため、内転筋や太もも、腰にかかるストレスは並大抵ではありません。また、踏み込み足(右打者なら左足)を引いた状態から外角低めのボールに対応するには、強靭な体幹と極めて柔軟なリストワークが不可欠となります。