日光市出身の彼女が書を始めたのは、わずか7歳の頃だった。日本書道師範会でたゆまぬ研鑽を重ね、14歳という若さで師範資格を取得。しかし、成長した彼女が最初に選んだ職業は、意外にも歯科医療の現場だった。患者の歯をケアする細やかな作業と、ミリ単位の精度を求める集中力。歯科衛生士として培ったその精密な視線は、のちに美しい手書き文字を生み出す強力な武器となる。
転機は突然訪れた。自らの表現欲求を抑えきれず、彼女は上京を決意する。安定した医療の職を辞し、書道界という厳しくも広大な世界へ一歩を踏み出した。伝統に囚われすぎないフレッシュな感性と、医療現場で養った繊細な手先のコントロール能力が見事にはまり、短期間で頭角を現すこととなった。