猫が“液体”のように見える最大の理由は、その特殊な骨格構造にある。猫の鎖骨は他の哺乳類と比べて極めて小さく、肩甲骨は筋肉だけで体幹に接続されている。この構造により、頭が通る幅であれば体全体を通すことができると言われるほど、肩回りの自由度が高い。さらに、猫の脊椎を構成する椎骨の数は人間とほぼ同じだが、椎間板が厚く柔軟で、背骨全体がバネのようにしなる特性を持つ。
また、猫の靭帯と筋肉の伸縮性も「液体説」を後押しする要素だ。猫は獲物を待ち伏せする際、狭い岩陰や茂みに長時間身を隠す必要があった。こうした狩猟本能に由来する行動が、狭い場所を好む習性として現代の家猫にも受け継がれている。つまり、箱や容器に体を収める行動は、単に「居心地が良いから」というだけでなく、捕食者から身を守り、獲物を待つための本能的な行動でもあるのだ。