そもそも、慣用句の由来となった本物のカラスたちは、なぜあのような一瞬の水浴びを行うのだろうか。鳥類生態学の専門家に話を聞くと、意外な答えが返ってきた。
「カラスにとって水浴びは、羽に付着した寄生虫や汚れを落とし、飛翔機能を維持するための死活問題です。しかし同時に、水辺にいる時間は天敵である大型の猛禽類や肉食動物に襲われる危険度が最も高まる瞬間でもあります。だからこそ、必要最小限の短時間で完璧に汚れを落とし、即座に離脱する。彼らの水浴びは、極めて理にかなった生存戦略なのです。」
野生の生存戦略としての無駄のなさ。私たちが蔑称のように使ってきた言葉の裏には、生き物の洗練された知恵が隠されていたのだ。