入手した防衛省の工事関係資料および現場のマニュアルによれば、軟弱地盤エリアでの作業においては、船体の動揺をリアルタイムで監視するモニタリングシステムの導入が義務付けられていた。しかし、今回の事故機材ではセンサーの不具合やデータ共有の遅延が日常化していた実態が仄めかされている。
安全管理の抜け穴はそれだけにとどまらない。土砂投入と地盤改良を同時に進める複合施工において、船体バランスを保つためのバラスト水調整手順が形骸化していた疑いがある。真相に迫るにつれ見えてきたのは、技術的限界を無視して推し進められた現場の「慣れ」と「焦り」だ。安全対策のコストカットと納期遵守の狭間で、現場の安全網はすでにズタズタに引き裂かれていた。