近年、政治権力とそのルーツを検証する動きの中で、一族の存在は改めて大きな注目を集めることとなった。その象徴とも言える作品が、ドキュメンタリー映画『妖怪の孫』である。昭和の妖怪と称された岸信介から連なる血脈と、日本社会に及ぼした政治的影響を批判的かつ多角的に解剖したこの映画は、各方面で大きな波紋を呼んだ。
この映画や関連するドキュメンタリー作品を通じて描かれたのは、単なる政治の歴史だけではない。権力の中心に位置した一族の中で、寛信がいかに「ビジネスマン」という独自のアイデンティティを保ち続けたかという対比もまた、観客に強い印象を与えた。表舞台で繰り広げられる政治のドラマと、裏側で紡がれた家族の現実。そのドラマチックなコントラストは、観る者に日本の政財界の深い複雑さを突きつける。