立花瀧と宮水三葉の身体が入れ替わる現象の中で、観客を最も驚かせた仕掛けが3年間の時間軸のズレでした。東京で暮らす瀧が体験していたのは2016年の時間軸であり、岐阜の田舎町で暮らす三葉が生きていたのは2013年だったという事実です。瀧が三葉に会うために飛騨を訪れた際、糸守町はすでに3年前に彗星の直撃を受けて壊滅しており、三葉を含む町民500名以上が犠牲者となっていた凄惨な記録を目の当たりにします。
なぜこのタイムラグが発生していたのか――。それは宮水家の血筋に宿る「夢を通じた入れ替わり」の能力が、過去の悲劇を回避するために働く一種の防衛本能だったためと考えられます。時空を超えて結びついた2人の意識は、本来交わるはずのなかった過去と未来を接続し、確定していた悲劇の歴史を書き換えるための唯一の架け橋となったのです。