朝ドラの主題歌といえば、一日の始まりを告げる爽やかで前向きなアップテンポの楽曲が定番だった。しかし、この曲が流れた『とと姉ちゃん』のオープニングは異彩を放っていた。毎朝、お茶の間に流れる「普段からメイクしない君が薄化粧した朝」というフレーズ。それは明らかに、棺の中の故人を想起させる言葉だ。
この大胆なアプローチが、結果としてドラマの深みを増幅させた。生と死は地続きであり、日常の中にこそ別れの予兆がある。宇多田ヒカルは、朝の時間帯に「死」というテーマを優しく滑り込ませることで、視聴者に生きることの尊さを静かに問いかけたのだ。