一方で、自己細胞による「完全な拒絶ゼロ」を目指す潮流も凄まじい熱量を帯びている。その根底を支えるのは、山中伸弥教授のノーベル賞受賞以来、日本が世界をリードし続けてきたiPS細胞技術だ。
腎臓はネフロン、集合管、間質組織、複雑怪奇な微小血管網が緻密に絡み合う「人体で最も構造再現が難しい臓器」と称されてきた。しかし、国立成育医療研究センターをはじめとする国内中核拠点では、ヒトiPS細胞から立体的な腎臓オルガノイドを極めて高い再現性で誘導することに成功している。
現在進行しているのは、微小な腎組織スライスを体内に移植し、エリスロポエチン(造血ホルモン)の自己分泌や老廃物ろ過の一部を肩代わりさせる実証研究だ。「全身の血液をすべてまかなう巨大な腎臓」を一度に作れずとも、腎機能を20〜30%底上げするだけで透析導入を何年も先送りできる。この“部分代替”という発想の転換が、再生医療の臨床応用スピードを一気に加速させた。