芸能・アートという文脈で語る際、避けて通れないのが作家・翻訳家の澁澤龍彦(しぶさわ たつひこ)の存在だ。三島由紀夫らとも深く親交を結び、日本のサブカルチャーや幻想文学に決定的な影響を与えた彼もまた、渋沢家の一員である。
龍彦は栄一の従弟の孫にあたる血縁関係にあり、いわば分家の出身だ。しかし、彼が紡ぎ出したデカダンで知的な世界観は、本家が築いた「資本主義の実用主義」とは対極にありながらも、同じ「時代の先駆者」としての熱量を孕んでいた。テレビのバラエティ番組で活躍するタレントとは異なるが、日本のカルチャーシーンにおける「渋沢ブランド」の多様性を象徴する人物であることは間違いない。