1980年、横浜銀蝿(T.C.R.横浜銀蝿R.S.)の登場は、それまでのポップスシーンを根底から揺さぶる出来事だった。革ジャンにドカン、サングラスという攻撃的なルックスとは裏腹に、彼らが奏でたのはキャッチーで誰もが口ずさめる極上のメロディライン。そのギャップが、瞬く間に全国の中高生を虜にした。
なかでも1981年にリリースされた『ツッパリ High School Rock'n Roll』(登校編)は、日本の音楽産業において金字塔と呼ぶべき大ヒットを記録する。「今日も元気に ドカンをキメたら」という軽快な語り口から始まる物語調の歌詞は、日常の鬱屈を笑いと疾走感へと昇華させた。フロントマンである翔(横浜銀蝿)が放つ、親しみやすくも筋の通った不良の美学は、テレビ画面を通じて全国のティーンエイジャーにダイレクトに刺さったのだ。