日本に古くから伝わる慣用句・ことわざのなかでも、これほど解釈のギャップが大きい言葉も珍しい。結論から言えば、この言葉は「どんな人でも外見を整えれば立派に見える」という意味を持つ。一見すると褒めているように思えるが、本質はそこではない。
日本語学の視点から紐解くと、「馬子(まご)」とは江戸時代などに馬で荷物や客を運んでいた職人のことだ。彼らは泥にまみれ、身なりに頓着しない無骨な作業着姿が一般的だった。つまり「もともとの身分や容姿がパッとしない者(=馬子)であっても、上等な着物(=衣装)を着せればそれなりに見える」という毒を含んだ比喩なのだ。
したがって、このフレーズの核心は「服が良いからマシに見えるだけ」という皮肉にある。他人に使うと「普段のあなたは冴えない」と宣言しているに等しい。