物語のクライマックスである無限城編において、不死川玄弥は上弦の壱・黒死牟(こくしぼう)との決戦に参戦します。数百年の修練を重ねた始まりの呼吸の剣士に対し、玄弥は開始早々に胴体を真っ二つに両断され、腕を切り落とされるという絶体絶命の重傷を負いました。
通常の人間であれば即死する状態でありながら、玄弥を突き動かしたのは「兄を絶対に死なせない」という執念でした。彼は戦場に落ちていた黒死牟の折れた刀の刃、そして抜け落ちた髪と肉片を直接喰らいます。上弦の壱という規格外の鬼の細胞を取り込んだことで、玄弥の体内ではかつてない激しい拒絶反応と共鳴が起き、肉体は鬼そのものへと変貌していきました。
玄弥が獲得した能力は、自らの意思で軌道を変える銃弾と、敵の体内で発芽して血を吸い急成長する「木の幹のような血鬼術」でした。実弥、悲鳴嶼、そして霞柱・時透無一郎が命を削って黒死牟に肉薄するなか、玄弥の放った血鬼術が黒死牟の全身を内側から締め上げ、呼吸の術式を封じる決定的な隙を作り出します。この命を削ったアシストがなければ、黒死牟の討伐は到底不可能でした。
しかし、その代償はあまりにも残酷なものでした。黒死牟の放った無数の刃によって縦に両断されていた玄弥の肉体は、鬼化の力が解けると同時に再生限界を迎え、鬼と同様に全身が灰となって崩壊を始めます。
駆け寄り、崩れゆく弟の体を必死にかき集めようとする実弥。「神様、頼む、頼むから弟を連れて行かないでくれ」「俺の体はどうなってもいい、玄弥を死なせないでくれ」と号泣して絶叫する実弥に対し、玄弥は穏やかな笑みを浮かべながら感謝を伝え、兄の腕の中で静かに消滅しました。これが、不死川玄弥の公式な死亡理由であり、原作読者の涙腺を決壊させた伝説の死亡シーンです。