本作の最大の牽引力となっているのは、キャラクターたちの強烈な二面性だ。ヒロインの吉乃は、一見すると普通の女子高生だが、その血には関西最大の極道・染井組のDNAが流れている。いざとなれば自分の腎臓すら売ろうとする彼女の肝の据わり方は、読者に強烈なカタルシスを与える。単に守られるだけのヒロインではない。彼女自身が圧倒的な「強者」なのだ。
対する深山霧島は、絵に描いたような美男子でありながら、内面は完全なサイコパスだ。吉乃に執着し、彼女に痛めつけられることにすら悦びを見出す彼の異常性は、これまでの漫画界における「ヒーロー像」を根底から覆した。一歩間違えれば命を落とすような緊張感に満ちた二人の駆け引きこそが、本作の真骨頂である。