男性ホルモンの代表格であるテストステロンと、女性ホルモンであるエストロゲン。一見すると対極に位置するこの2つの分子は、生体内において驚くほど密接につながっている。男性の体内にあるエストロゲンの大半は、精巣から直接分泌されるのではなく、テストステロンが「アロマターゼ」と呼ばれる酵素によって変換されることで生成される。
通常、この変換プロセスは極めて精密にコントロールされている。しかし、過度なストレスや加齢、後述する体脂肪の増加によってアロマターゼの活性が異常に高まると、本来維持されるべきテストステロンが次々とエストロゲンへと作り変えられてしまう。結果として、男性ホルモンの絶対量が減少するだけでなく、エストロゲンの血中濃度が跳ね上がるという「二重のホルモン危機」が引き起こされる。
日本内分泌学会の研究発表でも示されている通り、ホルモンとは単一の数値ではなく「比率」こそが生体機能を左右する鍵だ。テストステロンに対するエストロゲンの比率が一定の閾値を超えた瞬間、男の肉体は女性化のシグナルを受け取り始める。