中野二乃という少女の真価は、単なる記号的なツンデレにとどまらない点にある。物語前半における彼女の役割は、平穏な姉妹関係を乱す侵入者を排除する徹底的なディフェンダーだった。風太郎に対する毒舌やすれ違いは、五つ子の絆が変わってしまうことへの恐怖の裏返しだったのだ。
変化を恐れていた彼女が、自らの弱さと向き合い、長い髪を自らの手で切り落としたシーンは圧巻のひと言に尽きる。過去への執着を断ち切り、新たな自分へと生まれ変わった彼女を、原作者の春場ねぎは圧倒的な熱量と繊細な筆致で描き出した。少年漫画史上に残る「ショートカット化」という視覚的・心理的転換点。ここから、ファンの間で語り草となる彼女の怒涛の進撃が幕を開けた。