勝新太郎が設立した勝プロダクションは、妥協を許さない映画作りの末に莫大な負債を抱えることになる。数十億円とも言われた借金を前にしても、中村玉緒は夫を見捨てることはなかった。夫を責め立てることなく、自ら表舞台に立ち続けて借金返済のために奔走した姿は、今なお語り草となっている。
豪快に生き急ぐ夫を支え、自らの名声やプライドよりも家族の絆を守り抜いた。その腹の据わり方は、かつて銀幕で演じたどのヒロインよりも力強い。華奢な体に秘められた強靭な精神力こそが、過酷な昭和の映画界の荒波を生き抜く原動力だった。