ふたりの出会いは1974年の夏に遡る。グリコのお菓子CMの撮影現場で初めて顔を合わせたとき、三浦友和はどこか無愛想で、おもねらない青年だったという。当時すでにスター街道をひた走っていた彼女にとって、お世辞ひとつ言わない彼の自然体な姿は鮮烈な印象を残した。
同年に公開された金子成生監督の映画『伊豆の踊子』で初共演を果たすと、二人の相乗効果は日本中の映画ファンを熱狂させた。文芸作品としての格調高さと二人が醸し出す透明感溢れる雰囲気が見事に合致し、邦画史に残る名作が誕生した瞬間だった。
その後も『赤い疑惑』をはじめとする大ヒットドラマ「赤いシリーズ」で共演を重ね、二人はゴールデンコンビとしての地位を確立していく。多忙を極める撮影スケジュールの中、車中での短い会話や互いを思いやる眼差しを通じて、恋心は確かな信頼関係へと昇華していった。