日本のバーカルチャーを世界最高峰の域にまで高めた巨匠たちの言葉にも、会計と退店の作法に関するヒントが隠されている。「ハードシェイク」の考案者として知られる銀座の伝説的バーテンダー・上田和男氏や、海外からの顧客も絶えない「Bar High Five」の上野秀嗣氏らレジェンドたちが大切にしてきたのは、常に「空間全体の調和」だ。
上田和男氏のスタイルに代表されるように、名店のカウンターでは一杯のカクテルを味わう時間だけでなく、着席から退店に至る一連のストーリーが重んじられる。また、海外でも精力的に指導を行う上野秀嗣氏が示すように、言葉の壁を越えて伝わるのは客側のリスペクトと佇まいだ。支払いは単なる金銭の授受ではなく、その夜の演出を締めくくる最後の会話であり、感謝を伝える大切な瞬間なのだ。