上川口屋を語る上で欠かせないのが、スタジオジブリの名作アニメーション映画『おもひでぽろぽろ』(1991年公開・高畑勲監督)との関わりです。
主人公のタエ子が小学生時代を回想するノスタルジックなシーンに登場する駄菓子屋は、まさにこの上川口屋がモデルとなっています。高畑監督をはじめとする制作陣が何度も雑司が谷へロケハンに訪れ、店先の佇まい、ガラス瓶の配置、飴玉の色合い、そして店主の所作に至るまで緻密にスケッチし、作中に再現したエピソードはジブリファンの間で広く知られています。
豊島区の指定文化財である雑司が谷 鬼子母神堂と一体化したその景観は、単なる観光スポットの枠を超え、日本の近代庶民風俗を今に伝える「生きた博物館」としての文化的価値を持っています。