西山事件に関して、ネット上や一般的な言説で散見される誤解を正す必要があります。
誤解1:「沖縄密約は西山記者の思い込みや捏造だったのではないか?」
これは完全な誤りです。2000年代初頭、早稲田大学教授(当時)の後藤乾一氏らが米国立公文書館で機密解除された極秘文書を発見し、日本側が400万ドルを肩代わりした合意文書が実在することが証明されました。さらに2006年には、交渉当事者であった元外務省アメリカ局長の吉野文六氏が「私が密約書にサインした。西山さんが入手した電文は本物だった」と公式に証言。外務省が半世紀にわたり国会と国民につき続けた嘘が完全に崩壊しました。
誤解2:「西山氏は国家賠償請求訴訟で勝訴して名誉回復されたのか?」
2009年、西山氏らは「政府が密約の存在を隠蔽し続け、刑事裁判で不当に処罰された」として国に損害賠償と謝罪を求める国家賠償請求訴訟を提起しました。東京地裁・高裁ともに「密約が存在した事実」および「政府がそれを長年隠蔽してきた事実」を明確に認定したものの、不法行為から20年が経過したことで請求権が消滅する「除斥期間(民法旧724条後段)」の規定を適用し、請求そのものは棄却されました。司法は歴史的事実の認定には踏み込んだものの、国家の法的責任を直接断罪するには至りませんでした。