大西洋に浮かぶ英領セントヘレナ島。ここに暮らすセーシェルセマルゾウガメの「ジョナサン」は、推定1832年生まれ、すでに190歳を超えてなお健在だ。ナポレオンが島に幽閉されていた時代から現在に至るまで、人類の産業革命や二度の世界大戦、デジタル革命のすべてを静かに見届けてきた生きた歴史そのものである。BBC Earthのドキュメンタリーでも幾度となく特集され、その驚異的な生命力は世界中の科学者を惹きつけてやまない。
進化論の父チャールズ・ダーウィンが1835年にガラパゴス諸島から持ち帰ったとされるガラパゴスゾウガメの「ハリエット」もまた、オーストラリア動物園で2006年に推定176歳で息を引き取るまで天寿を全うした。彼女たちの驚くべき点は、100歳を過ぎてもなお生殖能力を維持し、内臓機能の著しい衰えを見せなかったことだ。老化によって死亡率が指数関数的に跳ね上がる哺乳類とは決定的に異なる生物学的メカニズムが、ここにある。