身動きの取れないどん底にいた彼を救い出したのは、意外な出会いだった。昭和の日本を爆笑の渦に巻き込んだハナ肇とクレイジーキャッツ、そして植木等の音楽とパフォーマンスである。
自室で耳にした『スーダラ節』などの楽曲や型破りな笑いは、「こんなにも肩の力を抜いて、笑って生きていいのか」という鮮烈な衝動を彼に与えた。暗闇の中にいた少年の心が、初めてフッと軽くなった瞬間だった。音楽と笑いが持つ命を繋ぎ止めるほどの力に開眼した彼は、独学でギターを握り、演劇の世界へと足を踏み出す。これこそが、後に音楽家・俳優としての原点となった知られざる独占秘話だ。