人生の後半戦に差し掛かった時、彼らに訪れるのが「自己愛崩壊(ナーシシスティック・コラプス)」と呼ばれる現象だ。定年退職による肩書の喪失、老いによる体力の衰え、あるいは配偶者からの熟年離婚の突きつけなどが引き金となる。
称賛の供給源を失った彼らは、自責ではなく強烈な他責へと走る。「世界が自分を正当に評価しない」「周りが裏切った」という恨み言を泥の濁流のように吐き出し続けるのだ。
最終シナリオとして残されるのは、静まり返った部屋で誰からも連絡が来ない日々を送る老人か、あるいは関わりを拒絶された末に社会から完全に隔絶された生活だ。他者を蔑み続けたツケは、確実かつ残酷な形で自らの孤独となって跳ね返ってくる。