通常のアイスショーといえば、複数のスケーターが代わる代わる登場し、華やかな演目をオムニバス形式で披露するのが一般的だ。しかし、彼が突き進む道はその常識を根底から打ち砕く。約2時間に及ぶ公演の全演目を、たった一人で滑り切る。この挑戦が持つ肉体的・精神的負荷は、並大抵のスケーターであれば想像すら拒むレベルだ。
極限の集中力を保ったまま、4回転ジャンプやトリプルアクセルを含む高度なエレメンツを次々と繰り出す。曲間のわずかな暗転時間で衣装を改め、息を整え、即座に次の世界観へと没入する。そのストイックな姿は、観客に感動を与えるだけでなく、人間の限界を押し広げるドキュメンタリーそのものだ。