彼女のキャリアにおいて最大の転換点となったのが、2001年に放送された『3年B組金八先生』第6シリーズである。性同一性障害という、当時のテレビ界では極めて挑戦的かつ繊細なテーマを抱えた生徒・鶴本直役。ショートヘアに鋭い眼光、胸に抱えた葛藤を全身で叫ぶその姿は、お茶の間に強烈な衝撃を与えた。
日本のテレビドラマ史に残る名演と評されたこの役柄は、単なる美少女タレントから表現者・上戸彩への脱皮を決定づけた。現場では演出陣からの厳しい指導が飛び交い、連日深夜に及ぶ過酷な撮影が続いたという。睡眠時間が削られる限界状況の中、彼女が絞り出した感情のリアルさが、作品に類稀なる緊張感と説得力を与えていたのは疑いようもない事実だ。