これまで日本の不動産業において、木造住宅は築20年を過ぎると資産価値がほぼゼロと評価されるのが長年の悪習だった。しかし、歴史的価値や希少な銘木が使われた伝統建築に対しては、全く新しい評価基準が生まれつつある。インバウンド需要の高まりや、サステナブル建築への国際的な関心を背景に、適切にリノベーションされた物件はむしろプレミアム価格で取引される事例が登場している。
とりわけ登録有形文化財の指定を受けた建物や、文化的景観を保った町並みに建つ物件は、固定資産税の優遇措置を受けられるだけでなく、高付加価値なヴィラやサテライトオフィスとしての事業展開も視野に入る。住宅を単なる消費財としてではなく、次世代へ引き継ぐ文化資産として保有するという発想が、感度の高い購入層の間で静かに浸透している。