カセから適当な長さをカットした後、次に多くの人がつまずくのが「指定の本数に分ける工程」です。25番刺繍糸は細い6本の単糸が緩く合糸された「6本撚り」になっています。2本取りや3本取りでステッチする際、2〜3本をまとめて一気に引き抜こうとして大きな結び玉を作ってしまうケースが後を絶ちません。
刺繍糸の絡まない引き抜き方として、プロの職人や講師が口を揃えて指導するのが「必ず1本ずつ引き抜く」という手法です。刺繍糸の6本撚りの分け方のコツは、以下のステップで行います。
まず、糸束の端から1本だけを指先でつまみ、垂直上に持ち上げます。もう一方の手の指先で、残りの5本を軽く(力を入れずに)押さえます。そのまま上の1本をスーッと真上に引っ張ると、下の5本がクシュクシュと縮んでアコーディオンのように縮小します。一見絡まったように見えて焦りますが、そのまま1本を引き抜き切ると、縮んでいた5本は元のまっすぐな状態にストンと戻ります。
この刺繍糸の1本ずつの抜き方を必要な本数分繰り返し、取り出した糸を改めて指先で撫でて揃え直してから針に通します。この「一度バラして空気を含ませてから束ね直す」工程を踏むことで、糸同士の撚りの偏りがリセットされ、布に刺したときのふっくらとした美しい艶と立体感が生まれます。