親の言動がおかしいと感じたとき、真っ先に避けるべきは「親を正面から問い詰め、病院へ連れて行こうとする」ことだ。当事者にとって、自らの認知能力を疑われることは自己否定に直結し、強い拒絶やパニック、攻撃性を引き起こす。では、家族はどう動くべきなのか。
第一のステップは、日々の「生活上の破綻」を感情を交えずに客観的に記録することである。「公共料金の支払いが3ヶ月滞納された」「契約書の内容を理解せず捺印した」「同じ話を数分おきに繰り返す」など、具体的な事実を日記やメモに残す。この記録が、後の公的機関への相談や診断において極めて重要な客観的証拠となる。
第二のステップは、親本人を動かすのではなく、子ども自身が相談窓口へ足を運ぶことだ。家族が孤立を防ぐための最新支援ルートとして、まず居住地域の福祉行政(市区町村の障害福祉担当窓口)や、高齢期に差し掛かっている場合は地域包括支援センターを訪ねるのが現実的な出発点となる。本人不在でも、家族からの相談として記録が作られ、ケースワーカーによる家庭訪問や間接的なアセスメントへと繋ぐ道が開ける。