熱狂的なファンからの逃亡生活と狂気のライブツアーに疲弊したジョンは、次第に楽曲の中に個人的な苦悩やメッセージを込めるようになります。1965年の『Help!』は、表面上はキャッチーなポップソングですが、実態は急速な名声に押しつぶされそうになったジョンの悲痛な「助けてくれ」という叫びでした。
翌年リリースされたアルバム『Revolver』に収録された『Tomorrow Never Knows』では、インド哲学やテープ・ループの実験音響を採り入れ、サイケデリック・ロックの先駆者となります。さらに1967年の『Strawberry Fields Forever』では、リヴァプールにある孤児院の庭での思い出を幻想的なサウンドで描写し、ポピュラー音楽を「芸術」の領域へと押し上げました。
「僕たちのツアーは、古代ローマの狂宴のようだった。自分自身を見失わずにいられるわけがない。」