豊昇龍の真の強みは、叔父譲りの気迫だけに依存していない点にある。所属する名門・立浪部屋での日々の鍛錬は、極めて論理的かつ過酷だ。レスリング仕込みの卓越した体幹バランス、柔道経験に裏打ちされた足技の精度。これらが相撲の伝統的な立ち合いと融合し、独自のハイブリッドスタイルを確立させた。
大相撲本場所の土俵で見せる内掛けや外掛け、出し投げのタイミングは、もはや芸術の域に達している。がっぷり四つに組んでもよし、離れてスピード勝負に持ち込んでもよし。立浪親方の緻密な指導のもと、怪我を防ぐ柔軟性と強靭な筋力を高次元で両立させた肉体は、連日満員御礼が続く本場所の激闘を耐え抜く強固な鎧となった。かつての朝青龍が荒々しい力で土俵を支配したとすれば、豊昇龍は変幻自在の技術で相手を翻弄する知性派の一面も併せ持っている。