レタリングの深遠な歴史を語る上で避けて通れないのが、アメリカ西海岸のストリートで生まれたチカーノタトゥーだ。独自のグラフィティ感覚と力強い手書きのニュアンスが融合したこの様式は、自らのルーツや家族への誇りを刻む手段として独自の発達を遂げてきた。
その頂点に君臨するのが、生きる伝説として知られるミスター・カートゥーンである。彼が描く流麗で躍動感あふれる文字は音楽シーンにとどまらず、映画『スーサイド・スクワッド』をはじめとする大ヒット映像作品のビジュアル構築にも深い影響を与えた。ストリートの文化が生み出した文字の美学が、スクリーンの大画面を通じて世界中の観客を魅了するまでに至った象徴的な事例と言える。