注文時に誰もが直面する最大の命題が「おや」にするか「ひな」にするかの選択だ。この二者の個性は、同じ骨付鳥でありながら全く異なる表情を見せる。
「おやどり」は、噛み締めるほどに重厚なアミノ酸の奔流が押し寄せる玄人好みの逸品だ。肉質は強靭で、奥歯でしっかりと引きちぎるような歯ごたえがある。切れ目から滲み出る濃厚な旨味は、噛めば噛むほど深まり、冷えたビールを呼んでやまない。
対する「ひなどり」は、驚くほど柔らかくジューシー。パリッと香ばしく焼き上げられた皮の下から、熱々の肉汁が溢れ出す。小さな子どもから年配客まで誰もが笑顔になる圧倒的な食べやすさと完成度を誇る。
どちらを選んでも共通するのは、300度を超える専用窯で閉じ込められた秘伝のスパイスだ。塩、胡椒、ガーリックの絶妙な配合が肉の脂と溶け合い、唯一無二のタレとなる。添えられた生のキャベツを皿の底に溜まったチキンオイルに浸して口へ運ぶ。さらにおにぎりをその油に浸して頬張る。これこそが、発祥の店が教える究極の肉汁体験だ。